top of page
  • 執筆者の写真静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

財産管理委任契約

判断能力はあるが、自分で動くことが困難な状況になってしまったときには、親族や信頼できる知人に預金の引き出しや各種の支払い、または買い物などを依頼したいこともあるでしょう。

そのような場合に備えて、自分の財産の管理やその他の生活上の事務について、代理権を与える人を前もって選び、具体的な管理内容を決めて委任契約を結ぶことを「財産管理委任契約」と言います。(「任意代理契約」とも呼ばれます。)

親しい間柄や信頼する人との間であっても、きちんと契約を結んだ方が良いのは何故かと言えば、例えば依頼した人があなたの正当な代理人であることを、手続きや取引の相手に対して、証明できるようにするためです。

また判断力が無くなったりご自身が死亡した後で、あなたの親族や相続人に対して、あなたが委任契約を依頼した相手が正当に委任事務を受任し、遂行していたことを証明するためなのです。

財産管理委任契約は、民法上の委任契約の規定に基づきますが、当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。

財産管理の開始時期や内容を自由に決められるため、成年後見制度のような厳しい縛りがありません。また契約締結後に本人の判断能力が低下したあとも委任契約は続くため、他の親族や第三者による財産の使い込みを防ぐことができます。

一方、財産管理委任契約には代理人に対する監督者が必須ではないため、代理人をチェックすることが困難であるというデメリットもあります。

契約の書面は、必ずしも公正証書にする必要はありません。しかし公正証書を用いない場合には社会的信用の点で不安なため、できれば公正証書にしておくことをお勧めします。

財産管理委任契約を単独で結ぶことも可能ですが、任意後見契約と同時に結ぶ事が一般的です。

判断能力が十分な間は財産管理契約で支援してもらい、判断能力低下後は任意後見契約でサポートしてもらうという移行体制を整えておくと安心です。

また財産管理委任契約と任意後見契約のセットに加えて、見守り契約もプラスして契約しておけば、より安心なサポート体制を組むことができます。

閲覧数:20回0件のコメント

最新記事

すべて表示

死後事務委任契約とは

子供や配偶者など自分の死後を託せる親族がいなければ、自分の死後の手続に関して、多少なりとも不安を感じるのは当然の事でしょう。 自分の葬儀、埋葬、そのほかの死後の後始末は、成年後見人や遺言執行者では対応ができません。 成年後見は、被後見人が死亡すれば契約が終了します。また遺言執行者は、遺言の内容を実現することだけしかできません。 つまり自分の死後の様々な面倒を見てもらうためには、死後事務の内容や費用

尊厳死宣言書を作る理由

「尊厳死宣言書」とは、どんな文書なのでしょうか? 完治する見込みのない病気などで、最期の瞬間が迫っているときなどに、過度な延命治療をせず自然な死を迎えたいという思いを、家族や医療関係者に伝えるための文書です。 法的拘束力はありませんが、例えば延命治療について自分と異なる意見を持つ家族がいる場合、公的な文書を残しておくことで明確な自分の思いを伝えることができます。 法的拘束力はないとは言え、本人の希

bottom of page