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  • 執筆者の写真静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

医療について(~その1~)

更新日:2020年5月26日

<医療同意と終末医療>

突然の体調の変化などにより、医療についての自分の考えや希望を医師に伝えることが困難になることは、日常生活の中で普通に起こり得ることです。

そんな時のための備えが、終末医療に関する事前指示書です。

本人の意思の確認が困難な場合、病院は家族や周りの付き添いの人に医療行為の同意を求め、その後の医療行為を行います。

同意の内容が延命治療に関するなど深刻な場合、決断を迫られる家族は、非常に困難な判断を強いられます。

その時の家族の心の負担の重さは、想像に難くありません。

また家族による苦悩の選択の結果が、ご自身の希望と違ったものである可能性も考えられます。

家族の精神的な負担を減らし、後の親族間の争いを防ぎ、ご自身の希望を叶えるためには、終末医療の事前指示書を用意しておき、かかりつけのお医者さんや家族との間で、ご自身の意思を共有しておくことが重要になります。

現在の医療は、基本的に「生かす」医療です。

家族にも大きな経済的負担を強いる延命治療をご本人が希望していなければ、事前に意思を明らかにしておき判断の根拠を示しておくことで、医療機関と家族との話し合いをスムーズに運ぶ事ができます。

巷間よく言われることですが、病院においては「老衰死」という診断はほとんどなされません。

老衰と思われる患者さんにも(延命)治療が施され、最終的に「肺炎」「心不全」などの病名が付き、それを死因としているため、病院内での死因には「老衰死」が少ないという話を聞きます。

一方、在宅医療では無理な延命治療はせず、自然の移ろいを診ていくため、老衰死の診断が多いそうです。

在宅での終末医療の前提としては、在宅医療を選択することがポイントになります。

訪問看護・訪問診療などの医療を選び、自宅での最後を迎える準備をします。

そのうえで終末医療の指示書を用意しておけば、医療機関と家族との話し合いを、円滑に進めるための指針となりえます。

終末医療の指示書の内容としては、次のような事柄を抑えておきましょう。

 ・できる限り救急車は呼ばない

 ・心臓停止後の蘇生術は不要

 ・人工透析はしない

 ・経口摂取不能の時は、人工的な栄養摂取手段を取らない

 ・(改善見込みのないときの)人工呼吸器気の取り外し

 ・水分補給、輸血、抗生物質の不要

自宅で静かな最期を迎えたいというご希望があれば、万が一に備えて、終末医療の事前指示書を用意しておきましょう。

かしこまった形式でなくとも、まずはエンディングノートに、過度の延命治療を希望しない旨を書いておきましょう。

それによって決断を迫られる家族の精神的な負担も減り、後々懸念される親族間の意見の対立も防止することができます。

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