• 静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

遺言 Ⅳ

公正証書遺言については、民法969条1項から5項に厳格に規定されています。

簡単に内容を概観すると、次の通りです。

公証役場において、遺言者が遺言の内容を口頭で公証人に伝えます。(この行為を「口授」と言います。)

次に公証人が、その内容を筆記します。

筆記が済むと今度は、公証人が筆記した遺言を遺言者及び、証人(2名以上)に読み聞かせ、又は閲覧させ、遺言者及び証人が筆記が正確であることを承認し、各自これに署名、押印します。

最後に公証人が、その証書が定められた方式に従って作成された旨を付記して、署名押印して完成となります。

民法の定めはこのようになっていますが、実際には前もって公証人と遺言の内容の打ち合わせを済ませ、作成当日に遺言者及び証人の前で読み上げ、承認をするという流れが一般的に行われています。

その際に、行政書士などの専門家は、一連の進行のお手伝いをさせて頂くことが可能です。

公証人や2名以上の証人など、公正証書遺言には、登場人物が多くなります。

加えて手数もかかりますので、どうしてもハードルが高く感じられることと思います。

さてそんな公正証書遺言のメリットとは、どんな所にあるのでしょうか?

メリットの1番目としては、<専門家が関与するため形式の不備や文言の不明等の恐れが少ない>と言う点が挙げられるでしょう。

そして同じくらい重要なメリットとして、<遺言書が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れがない>点も挙げられます。

他には、<遺言の自書ができない人も作成が可能(自筆遺言証書では「自書」が必須条件)>です。

また<家庭裁判所の検認が不要>であることも、残された遺族にはメリットの一つと言えるでしょう。

それでは逆に「デメリットは?」問われると、<費用が発生する>ことや、<手続が面倒>であること、<公証人、証人に内容が知られてしまう>ことなどが挙げられます。

しかしこれらメリットとデメリットとを比較すると、メリットがデメリットを凌駕するものと思われます。

最後に1999年の民法改正により、969条の2として、「方式の特則」が定められたことを付け加えておきます。

内容を一言で申し上げると、障害者への配慮がなされた方式が採用されるに至った、と言う事です。

・口がきけない者に関する通訳人の通訳、あるいは自書を用いることで口授に代える(1項)

・遺言者または証人が耳が聞こえない者である場合には、筆記した内容を通訳人の通訳により伝えることで、公証人が読み聞かせることに代えられる(2項)

公正証書遺言は費用や手間が掛りはしますが、後々の信頼感を得ることができる点は、大いに考慮すべきことです。

専門家が、公正証書遺言をお勧めする所以がそこにあります。

9回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示

遺言の書き方 Ⅱ <遺言作成のポイン>

民法には、遺言できる事項の定めがあります。 具体的に挙げると、次の通りです。 ・未成年後見人または未成年後見監督人の指定(民839・849) ・相続分の指定(民902) ・遺産分割の指定又はその委託と禁止(民908) ・遺産分割の際の担保責任についての定め(民914) ・遺贈(民964) ・遺言執行者の指定またはその委託(民1006) ・遺贈の減殺に関する別段の定め(民1034) 以上の事項は遺言

遺言の書き方 Ⅰ <自筆遺言の法的要件>

遺言は、民法に定められる<要式行為>です。 民法960条には「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」と、定められています。 遺言は本人の死後、その効力を生じます。その時には、その遺言の真偽あるいは真意を確認する事はできません。その為、厳格な要式が定められているのです。 遺言ができるのは、満15歳に達している者です。(民961) 成年被後見人についても、正常の精神状態に戻

遺言 Ⅲ

<自筆証書遺言> 自筆証書遺言については、民法968条に定めがあります。 第1項では形式面の規定(全文、日付、氏名の自書及び、押印)が定められ、第2項には加除訂正に関する規定が定められています。 自筆遺言証書は、自分一人で作成し、完結させることが可能です。 その為公証人等への費用が発生することもなく、経済的と言えば経済的ではあります。 そして一人で作成できるので、遺言の内容やその存在を、誰にも秘密