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  • 執筆者の写真静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

遺言① ~遺言の種類~

更新日:2020年3月2日




「遺言」の話題に接したときに、<重要な事>とは思っても、同時に<自分には関係ない>と考える方が多いのではないでしょうか。


「まだまだ元気だから(⇒もっと歳をとったら)」とか、「それほど財産が多くないから」とか、「子供たちは仲良くしているから」など、<今の自分に関係ない>と思える理由はいくらでもあり、現実感が湧かないというのが正直なところだと思います。

一方で「子供がいない」とか、「前婚の相手との間に子供がいる」とか、「内縁関係のパートナーに財産を残したい」などの事情がある方は、真剣に対策を考えている事とは思います…。


しかし特別な事情がない人にとっても、遺言は<関係のない事>とは言い切れません。

相続財産の大半が不動産である場合、分筆できない広さの土地や家屋などに関しては、どのように分けるのでしょうか?

また財産が少ないことも、不安の解消にはなりません。

家裁の統計(平成24年度)によると、遺産分割事件の財産額の実に75%が財産額5千万円以下です。

5千万円という財産額は、「自宅+預貯金」で直ぐに届いてしまいそうな金額です。

こうしてみると、決して<他人ごとではない>と言えそうですが、いかがでしょうか?



さて遺言の重要性をご理解いただいたところで、次に遺言の種類に話を進めます。



民法に定められた遺言の方式は、<普通方式>が3種類(民法967条)と、<特別方式>が4種類(民法976~979条)の合計7種類です。


<普通方式>には、「自筆遺言証書」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類あります。


<特別方式>は、更に「危急時遺言」と「隔絶地遺言」に分類されます。

「危急時遺言」には「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」があり、「隔絶地遺言」には「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。



今回は<普通方式>にフォーカスして、それぞれの概略をご説明いたします。



・「自筆証書遺言」

この方式のポイントは、「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければ、その効力を生じない。」(民法968条①)と言う事です。

他の方式と違い、証人は不要です。

遺言の開封前には、家庭裁判所で<検認>と言う手続きを経る必要があります。



・「公正証書遺言」

公証役場において、①遺言者が遺言内容を公証人に口授(くじゅ;口頭で話すこと)した内容を公証人が筆記をし、②それを遺言者及び証人2名に示し、③遺言者及び証人2名が証人・署名・押印し、④最後に公証人が署名・押印するという手続きを踏みます。

公証人の手数料等の費用が発生し、内容が公証人と証人に知られてしまうという特徴があります。



・「秘密証書遺言」

遺言者自身が署名・押印して遺言書を封入し、遺言書に押印した印鑑を用いて封印をします。遺言書は自書する必要はなく、(本人が)ワープロで入力したものでも構いません。

これを公証人及び証人2人以上に示し、自分が書いたものであること並びに、筆者の氏名及び住所を申述します。

内容は完全に秘密にできますが、肝心の遺言書が様式不備で無効となる恐れがあります。




以上、普通方式の遺言を概観しましたが、この中で私が皆さんに強くお勧めしたいのが「公正証書遺言」です。

その理由はこのブログの中で、回を改めて順次ご説明いたします。


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