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遺言⑤ ~公正証書遺言~

執筆者の写真: 静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

更新日:2020年3月2日


公正証書遺言については、民法969条1項から5項で厳格に定められています。

内容を簡単に要約すると、その流れは次の通りになります。



(1)通常の場合、遺言者が公証役場に出向き、遺言の内容を口頭で公証人に伝えます。(この行為を「口授(くじゅ)」と言います。)


(2)次に公証人が、その内容を筆記します。


(3)筆記が済むと今度は、公証人が筆記した遺言を遺言者及び、証人(2名以上)に読み聞かせ、又は閲覧させ、遺言者及び証人が筆記が正確であることを承認し、各自これに署名、押印します。


(4)最後に公証人が、その証書が定められた方式に従って作成された旨を付記して、署名押印して完成となります。



民法の定めは上のようになっていますが、実務的には前もって公証人と遺言の内容の打ち合わせを済ませ、作成当日に遺言者及び証人の前で読み上げ、承認をするという流れが一般的に行われています。

その際に、行政書士などの専門家は、一連の進行のお手伝いをさせて頂くことが可能です。





公証人や2名以上の証人など、公正証書遺言には、登場人物が多くなります。

加えて手数もかかりますので、どうしてもハードルが高く感じられることと思います。

そんな公正証書遺言のメリットとは、どんな所にあるのでしょうか?



メリットの1番目として挙げられるのは、<専門家が関与するため形式の不備や文言の不明等の恐れが少ない>と言う点でしょう。

更に<遺言書が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れがない>点も、重要なメリットとして挙げることができます。

他には、<遺言の自書ができない人も作成が可能(自筆遺言証書では「自書」が必須条件)>という点が挙げられます。

また<家庭裁判所の検認が不要>であることも、残された遺族にはメリットの一つと言えるでしょう。


それでは逆に「デメリットは?」問われると、<費用が発生する>ことや、<手続が面倒>であること、<公証人、証人に内容が知られてしまう>ことなどが挙げられます。

しかしこれらメリットとデメリットとを比較しても、メリットが勝ると考えます。

最後に1999年の民法改正により、969条の2として「方式の特則」が定められ、次のような障害者への配慮がなされた方式が採用されるに至りました。

(民法969条の2)

・口がきけない者に関する通訳人の通訳、あるいは自書を用いることで口授に代える(1項)

・遺言者または証人が耳が聞こえない者である場合には、筆記した内容を通訳人の通訳により伝えることで、公証人が読み聞かせることに代えられる(2項)




公正証書遺言は費用や手間が掛りはしますが、後々の信頼感を得ることができる点は、大いに考慮すべきことです。


専門家が、公正証書遺言をお勧めする所以がそこにあります。

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