「尊厳死宣言書」とは、どんな文書なのでしょうか?
完治する見込みのない病気などで、最期の瞬間が迫っているときなどに、過度な延命治療をせず自然な死を迎えたいという思いを、家族や医療関係者に伝えるための文書です。
法的拘束力はありませんが、例えば延命治療について自分と異なる意見を持つ家族がいる場合、公的な文書を残しておくことで明確な自分の思いを伝えることができます。
法的拘束力はないとは言え、本人の希望であることは確かで、特別な事情がない限り、全く無視されることはないでしょう。
また親族間で尊厳死についての意見が分かれることが考えられる場合にも、本人の意思が明確に表現されていれば、後々の争いの種になることはないでしょう。
もちろん自書により宣言書を作成することも可能ですが、第三者機関を利用して宣言書を作成する方法もあります。その場合の方法には、①日本尊厳死協会の宣言書(リビングウィル)と、②公証役場において作成する尊厳死宣言公正証書の2つがあります。
公的な第三者的機関を利用して自分の意思を表現することは、より強い意思を表すことの客観的根拠ともなります。
意識がなくなり自分では意思を表現できない状態に陥いった時でも、尊厳死宣言書の用意があれば、宣言書が自分の意思を表明してくれます。
現在の日本の医療は「生かす」医療です。病院においては自然死を避け、できる限りの治療を続けるというのが基本です。
意識のないまま生き続けることは不本意だと日頃は思っていていても、意識がなくなってからでは訴えることはできません。
また植物状態での延命措置が長期間に及べば、その場合の家族の経済的負担は計り知れない金額になることが当然予想されます。
家族間で延命について意見が分かれることもあるでしょうし、尊厳死の判断をした家族の心理的負担は計り知れません。
しっかりした判断ができる間に、自ら自分の意思を明確にきちんと宣言しておく。
それは自分らしい最後を迎えるためだけではなく、家族への思いやりでもあります。
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