静岡県伊東市 かねこ行政書士事務所

2018年5月23日2 分

遺言 Ⅰ

<なぜ遺言を書いておいた方が良いのか>

様々なメディアや日常の会話の中で、昨今「遺言」の話をよく耳にするようになりました。

「終活」とか「エンディングノート」などと言う言葉も、普通に目にする事が多くなったと思います。

しかしそのような情報に接したときに<重要な事>と感じても、同時に<自分には関係ない>と考える方が多いのではないでしょうか。

「まだまだ元気だから(もっと歳をとったら)」とか、「それほど財産が多くないから」とか、「子供たちは仲良くしているから」など、<今の自分に関係ない>と思える理由はいくらでもあり、現実感が湧いてこないというのが正直なところだと思います。

もちろん「子供がいない」とか、逆に「前婚の際の子供がいる」とか、「内縁関係のパートナーに遺産を残したい」などの事情がある方は、真剣に対策を考えている事とは思いますが…。

しかし特別な事情がない人にとって、遺言は本当に<関係ない>のでしょうか?

注意深く見ていくと、そうとも言い切れません。

相続財産の大半が不動産であると言う人は多いと思いますが、その場合はどうでしょう。

分筆できるような広い土地でしたら、共有せずに分けることも可能でしょう。

しかしそうでない場合、あるいは家屋などについては、どのように分けるのでしょうか?

財産が少ないから争いの心配はないと考えていても、現実はそうでもありません。

家裁の統計(平成24年度)では、遺産分割事件の財産額は1千万円以下が32%、1千万円超~5千万円以下で43パーセントとなっています。

つまり(平成24年度)家裁が取り扱かった遺産分割事件のうち、実に75%が財産額5千万円以下と言う事です。

財産額が5千万円以下ならば、自宅プラス預貯金で直ぐに到達してしまいそうです。

こうしてみると、やはり他人ごとではないように思われます。

親の頭の中には、子供達は仲良く遊んでいた幼少期のイメージが、いつまでも残っている事でしょう。

子供はいくつになっても子供ですし、親もいくつになっても親です。

しかし実際には、子供達もそれぞれに家庭を持ち、自分の子を持ち、学費などの負担がかかってくるなど、状況は時の流れ共に変化しています。

幼い頃のようなシンプルな関係が、いつまでも続いているとは考えられません。

近頃「争族」と言う言葉が、キーワードのように使われています。

それ迄何事もなく仲良くしていた兄弟姉妹が、遺産分割に直面した途端に、ちょっとしたボタンの掛け違いが起こることが多くあります。

’備えあれば憂いなし’

自分の人生を総括する意味でも、全ての方に遺言と向き合って頂きたいと願う次第です。

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